『髪結新三』 桂歌丸

歌舞伎の演目として親しまれる「髪結新三(かみゆいしんざ)」だけど、この演目がもともとは落語の人情話であって、落語から歌舞伎の演目になったんだということを、最近になって知った!(恥ずかしい…。) というわけで、笑点でおなじみ桂歌丸のCDを聴いてみました。感想です。
落語がオリジナルなのに、すっかり歌舞伎の演目になってしまったことを悔しく感じていたという六代目三遊亭円生が、過去の速記本などを元に復活させたのが、現在残る落語人情話「髪結新三」だそうですね。歌丸がやっているのも円生のものをベースにした内容になっているそうです。(まだ、円生のCDは聞いてませんが…。)
で、率直な感想ですが、「意外と地味…。」というのがわたしの偽らざる印象。
歌丸の語り口が堅実実直な人情話のそれだからということもあるんだけど、河竹黙阿弥の作劇術がじつにうまいってことでもあるのでしょう。
歌舞伎の方が、名台詞に代表される言葉の音(「おと」じゃなくて「おん」、節回しのある「おん」のつもりです。)を響かせるような、カッコいい言い切りの啖呵だったりするのに対して、落語の方は、掛け合いの"間"に真骨頂があるためか、歌舞伎では悪漢ヒーローである新三がいまひとつカッコよく思えてこない。
つまりは、新三が長屋のごろつきみたいなんですよね。それに、歌舞伎の方だと、気風のいい江戸っ子って感じなんだけど、落語の方はちょっと泥臭い感じ。
結局、歌舞伎は台詞を歌い上げるけど、落語は語り込むものだという違いが、この口演を聞いていると、なんだかよくわかるんですよね。
もっとも、この噺を亡くなった古今亭志ん朝がやったら、陽性な江戸っ子の新三が誕生したかもしれませんが、それは歌舞伎に向こうを張った落語であって、落語としてのこの噺とはずれていってしまうのかもしれません。
というわけで、芝居の好きな人は参考にどうぞ。
なお、歌丸ってテレビのイメージとは違って、本当に本格派のいい噺家です。ある面では、六代目三遊亭円生の芸風を直弟子の円楽より継いでるような気さえします。
歌丸のうまさを知るという意味でも悪いCDではありませんので、あしからず。
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